診療理念

食べるということは動物の生きるための最も基本的な行動ですが、高度な脳機能を介した人間にとっては、さらに家族や友人と楽しんで味わって食べるという、人間の精神活動の中でも重要な意味があります。そのためには、まず消化管の入り口である口が健康でなければなりません。

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今までの日本の歯科界では虫歯を削って詰め、また虫歯になればまた削って詰め直し、歯がなくなれば簡素な入れ歯を入れ、最後には総入れ歯、ということを戦後から変わらず続けています。それは日本の医療制度に起因します。日本ではいまだに「虫歯は小さいうちに治しましょう」と検診を一年に一回繰り返すのみで、給食の後の歯磨きすらほとんど行われていません。欧米の歯科先進国では何十年も前から「虫歯や歯周病にならないように定期的に歯科医院でメインテナンスを受けましょう」という理念の元、歯科医療制度を整備し、着々と虫歯と歯周病を減少させています。

当医院では単なる虫歯、詰め物の脱離、歯が抜けたという事に対する治療で終わるのではなく、一口腔単位、時には体全体の疾患の一部としてその原因を究明し、それをよく説明してご理解いただき、その原因を解決しながら、高度かつ最新の技術で治療を進めます。そして治療終了後はその良好な状態が長期にわたって維持されるようにスタッフ一同でお手伝いをさせていただきたいと考えています。

高度・先進技術

歯科医療技術、材料は日々進歩しています。大学卒業後、ドイツ国立フライブルク大学歯学部に留学し、世界2大インプラントの一つ、ITIインプラントの主要開発メンバーで歯周病・インプラント治療の世界的権威、クレケラー教授に直接師事し、ヨーロッパの先進の歯周病・インプラント治療を学びました。帰国後も多くの学会、研修会に参加し、日々進歩する治療技術と材料を習得すべく研鑽を続け、各学会認定の専門医、認定医などの多くの資格を取得し、高度かつ最新の技術で治療を進めます。特に、歯周病専門医とインプラント専門医の両者の資格を有する歯科医は日本ではわずかしかおらず、総合的で専門性の高い治療を行っています。

クレケラー教授との写真

  • 歯周病専門医
    (日本歯周病学会認定)
  • インプラント専門医
     (日本口腔インプラント学会認定)
  • 歯周病認定医
     (日本臨床歯周病学会認定)
  • ITIメンバー
     (ITI:国際インプラント研究チーム)

痛みに配慮した治療

痛みに配慮した写真

当院では麻酔注射がなるべく痛くないように必ず表面麻酔の後に麻酔をかけます。また世界最高技術を誇るテルモの非常に細い径30Gの注射針を使用しています。また、あえてコンピュータ制御の注射器など使用しません。歯ぐきの固さ、麻酔の量など、個人差どころか同じ人でも場所によって組織の状態は様々で、麻酔機に搭載されるような簡易なコンピュータ制御などでは、経験を積んだ術者の微妙な感覚にまだまだ追いつくことができません。また、表面麻酔後や患者さんがリラックスした状態で痛みを感じるレベル(閾値)が上がり、痛みを感じにくくなります。スタッフの対応、アロマ、音楽等も配慮しています。

麻酔の方法も様々有り、治療に応じた必要十分な麻酔をかけることで痛くない治療を可能にします。また、麻酔専門医による最新の麻酔法、静脈内鎮静法でのインプラント手術も行っています。点滴によって眠っている間に痛みも苦痛もなく終わり、全身麻酔と違って点滴を外せばすぐに意識が戻り、手術後は通常通り帰宅できます。

ていねいな説明

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病気は医師任せでは治りません。患者さんご自身が健康になろうとする強い意志が必要です。まず、病気になってしまった原因を探り、それについてご理解いただき、さらにそれに対する様々な治療法と予後について、わかりやすいイラストや過去の症例などをお見せして十分な時間をかけて説明させていただきます。

生涯にわたる健康な口腔の維持

病気を治そうとする強い意志をお持ちになり、治療を受けていただいて健康なお口になられた後は、その状態が長期に渡って維持されるようにメインテナンスプログラムを続けることをお勧めいたします。歯垢や歯石がたまってしまったために虫歯や歯周病になったのあり、そのためにむしばまれた組織を人工物で置き換えただけでは進行を遅らせただけで、またすぐに、そして次はそれ以上に歯や歯ぐきや骨が崩壊してしまいます。食べれば増える口腔内バイオフィルムである歯垢や歯石を毎日せっせとはがしてやらなければなりません。

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また、口腔内がそのように悪化してしまった原因は日本の歯科予防医療制度によるものです。スウェーデンでは、出産前のお母さんへの予防指導から始まり、生後数ヶ月から20歳までは、定期的な予防指導、処置を受けることが義務づけられており、国民全体で90%以上がメインテナンスを続けています。アメリカでは年収200万円以上の人の50%、年収400万円以上の人の80%が定期的にメインテナンスを受けているそうです。一方で、日本のメインテナンス率は2%です。その結果は以下の通りです。

  • 12歳 虫歯罹患率(1990年データ) 日本4.5本、スウェーデン1本
  • 20歳 虫歯罹患率(1990年データ) 日本9.5本、スウェーデン3本
  • 総入れ歯率 75歳 日本50%
  • 80歳平均残存歯数 (1999年データ)日本6本 スウェーデン25本

しかし、今からでも遅くはありません。日々の正しいセルフケア、そして数ヶ月に一度のプロフェッショナルケアを一生続けることで20歳で虫歯0、80歳で20本どころか25本以上残すことは欧米のデータと当院の実績から夢ではありません。80歳で総入れ歯になっているかどうかは、悪くなったらすぐに歯科医院で治してもらっていたかどうかだけでなく、毎日上手に(回数ではありません)磨いて、磨けないところを年に何回か歯科医院でクリーニングをしてもらうということを一生続けたかどうかだけの違いです。

年に数回のプロフェッショナルケアを受けることは決して時間と費用のロスでなく、むしろ節約になります。例えば、虫歯治療をした歯が多い人(虫歯リスクの高い人)が5年後に上下左右奥歯にまた1本ずつ虫歯になったとすると、普通C2なら一本につき2、3回、C3なら4、5回以上、上下左右に散らばっているため各ブロックごとに治療しなければならないため、全部治すのにまた10回以上通院しなければなりません。一年に2回プロフェッショナルケアを受けたとすると、5年分のプロフェッショナルケアを受けた回数です。しかも、一般的にケアの費用より治療の費用の方が高く、治療の方が痛い思いをしなければなりません。国民レベルでこれを計算すると相当の経済損失が生じます。だから、欧米の歯科先進国では法律や加入保険などによって定期的なプロフェッショナルケアが義務づけられているのです。

当院では開院以来13年、このような欧米の歯科先進国では当たり前とされる予防処置を皆様に勧めて参りました。そして定期的に来院される方の数は年々増え続ける一方で半年先の予約まで入っている状況です。特に幼児の頃は虫歯が多かったのに予防処置を継続された結果、中学生になる頃にまったく虫歯のない24本の健全永久歯列を完成されたお子様もたくさんいらっしゃいます。もちろん、成人の方でもメインテナンスを続けることによって今までと全く違った、虫歯と歯周病になりにくい口腔内環境を維持されておられる方が多数おられます。特に高齢者で口腔の健康を維持されている方を拝見していると、口腔の健康は確かに全身の健康と直結している、ということを日々実感しています。当院ではすべての方に歯ブラシのプロフェッショナルになっていただくよう、スタッフ一同ていねいに指導させていただきます。